有卦振舞  0.夢現

だれぞ   だれぞ   其処にいるのはだれぞ



それはいつも眠りに付くと聞く不思議な声。 だが今日は違った。 地の底から這い上がってくる様な恐ろしい声。



・・・・・・・・に・・・・

・・・こ・・・っ・・・・・・・で

こっちに・・・おい・・・で



薄暗い闇の中誰かがおぼろげに呼ぶ声が聞こえる。 次第にはっきりとした声になり・・・・・・



紅姫



私を呼ぶ。この声に答えてはいけない。それは直感だった。 この声に答えれば、私は私じゃなくなってしまう気がした。 あるいは、私の大事なものを奪われる。



こっちに・・・・お・・いで・・・紅姫・・・・

紅姫・・・おいで紅姫・・・