心色 小さな物語




世界には沢山の色が溢れている。

それは自然の色だったりはたまた人が作り出した色だったりと様々。
色は暖かさや寒さ季節を表したり遠近感やその場の感じまでも表す。
そして人の雰囲気や人柄までも表してしまう。
人は色によってその見方や印象がまるで変わってきてしまうだろう。





僕の世界は色とりどりの色であふれ返っていた。
赤、青、緑、黄色、オレンジ、ピンク、紫、黒、白、どれも輝いて見える。
何て美しいんだろうと感動がじんわりと染み込んでくる。

それが僕の、僕らの日常だった。





そんなある日小さな友達が訊ねてきた。

「ここはとても綺麗だね」

彼は僕らが暮らす自然いっぱいの島に住んでいるのではなく、 煌びやかな街灯が煌々と灯る街からやってきたのである。

「だけど寂しい」

常に人と接し、賑やかな場所に親しんでいた彼にはこの島がとても静かに思えた。

「そうかい?僕はずっとこの島にいるけど寂しいとは思わないよ」
「何故?」
「耳をすまして聞いてごらん。 囀る小鳥の声に風に吹かれザワザワと葉の動く音。 ほら、寂しくないだろ」

自然が君のことを歓迎していると説明しても、彼は胡乱気に眉を顰めるだけだった。
育った環境によってこんなにも感じ方が違うものなのだろうか。
島の皆と違った反応に僕はただただ困惑するばかりだった。